最近では、癒しという言葉に続いて、その手立てとなる音楽療法やら、ハーブ等のアロマ療法、そして私が行っております動物介在療法等々、マスコミでも多く取り上げられたことから、この分野が俄に注目されるようになってきました。
 しかし、私がこの活動を始めた6年前は、私自身もCAPP活動は勿論、動物介在療法なる言葉も知りませんでした。ただ獣医という仕事柄、動物がこんなに深く人間の心に入り込んでいる現状は、日々強く感じるところでした。子供が少ない。子供を産まない。共働きが多い。子供に限らず成人しても、人と上手にコミニケーションがとれない。人との関係が、バラバラというか、孤立していると感じる中で、動物が居ると居ないのとでは全然違う。何が違ってくるのか。それはこのバラバラという感じがない。動物を媒体として、家族がまとまっている。常に共通の話題がある。各々が動物を愛することによって、そこから生まれてくるこの安堵感の様なもの。そうだ、これこそが今、失われようとしているものの正体なのだ。であるならば、一番その愛情から疎外されているところ、と言ってしまえばお叱りを受けそうだが、誤解を恐れずに申し上げれば、老人の居るホームに、この動物を連れて行きたい!!。まあ、この単純な発想が、今にして思いますと、この活動の動機になりました。(開業獣医師になる以前の1981年仙台市動物管理センター在職中に幼児中心のふれあい活動を行っていましたが、活動と言えるものであったか否か)
 


 手始めに、知人のお父上が入所されておられたホームに動物を連れて行き、それからポップコーンや綿菓子の機械を購入して...。正式に(社)日本動物病院福祉協会のCAPP活動を知りましたのは、それから半年してからでした。当時はこの活動に参加している獣医師が東北には一人もなく、AATとAAAの区別もよく判らないまま、それでも水を得た魚のような気持ちになり、どうにか地に足をつけて歩けるようになりました。(社)日本動物病院福祉協会の言われるHABヒューマンアニマルボンド(人と動物との絆)の重要性は、この一端を担うCAPP活動を続ける中で、私は実体験し、これは大変な活動なのだと再認識させられたのでした。
 お隣の福島県、原町市で試みられた動物の介在療法にCAPP活動を行っていた私が招かれ、特別養護老人ホーム長寿荘で起きた出来事は、特筆に価すると思っております。
 原町保健所(現在は相双保健所)と精神科医と獣医師の私の三位一体にボランティアが加わり、この9月で4年に渡る月1回〜2回のCAPP活動は、心を病む老人がホップ・ステップ・ジャンプの如き、動物によって癒されかつ前向きに生きようとする蘇生にまで行き着く様を、見せて頂いたのでした。


 長寿荘で働く職員の方々の誰もが、私達がどんなに心を込めてお世話をしても、こんなにいい顔はしてくれません、とおっしゃいます。入所して初めて笑いました。言葉を発しました。動かない手で動物を撫でようとします。膝から落ちないように不自由な手で庇います。冬は屋外で焚き火をしながらのふれあいですが、誰一人寒いという人も、帰ろうとする人も居りません。許された時間を、限りある一時を、しっかり動物をひざに抱き、その嬉しさを短歌にして詠まれた方、その喜びを手拍子に歌を唄って下さる方、御自身の昔話をして下さる方、時間が来て又参りますと告げると、泣き出す方が居られたりして...。  私は団塊の世代の生まれです。3人に1人は老人という日が近い将来やって来ます。長寿荘でのことは、この活動の方向性として、ターミナル・ケアに繋ぐことが出来ないだろうかという重要な課題を、私の心に残しました。
 今では、これらのCAPP活動が新聞、テレビ、ラジオ等に取り上げられ、皆様に知って頂いたお陰で、活動が広範囲に渡り、月5回〜6回の時もあり、ご老人から幼児まで人の輪が広がり一般のボランティアも60名余の登録を越えています。


 2001年はボランテイア国際年。日本が提案し、国連によって定められました。私は今でも、ボランティアをしているという感覚はなく、むしろボランティアを受けているという思いの方が強いのですが、私は、この度私をずっと支え続けて下さった(社)日本動物病院福祉協会が動物看護士を目指す養成校に、指定並びに推薦の認定制度を設けられることを知り、時を得たりと喜んでおります。
 と申しますのは、動物看護士を養成する学校に講師として6年在籍していた経験を生かし、自分の理想とする学校を設立したいと考えておりました。動物看護学科だけの単科校なのですが、私は(社)日本動物病院福祉協会の理念に深く同意する者として、このCAPP活動を、この学校に積極的に取り入れたいと望んで居ります。  学問や技術だけではない、新しい社会を創る作り手としての人間形成を、この若い世代の生徒、社会人に託したいと切に願っております。そして願わくば、日本で初めての一獣医師の設立する学校が(社)日本動物病院福祉協会の指定校となれるよう開校準備を急いでおります。どうぞ宜しく御指導下さいます様、お願い申し上げます。


 


CAPP活動の今までのうごき
(初実施のみを記載)

1981〜82
仙台市動物管理センター在職中ペットウインタースクールを開催
未就学・心身障害者中心の情操教育としてふれあい活動を実施
1996.10.31 大和町特別養護老人ホーム和風苑にてAAT動物介在療法を実施
1986
(社)日本動物病院福祉協会によるCAPP活動開始 1997.06.01 高砂フリーマーケットまつりにてふれあい活動を実施
1993.12.18
菅原動物病院におけるCAPP活動の開始
仙台市泉区にある特別養護ホーム愛泉荘にてふれあい活動を実施
1997.07.24 大和町心身障害者総合援護施設宮城県船形コロニーにてAAT動物介在療法を実施
1994.08.03 地元福住夏祭りにてふれあい活動を実施 1997.09.14 仙台市高砂老人福祉センター第3回豊齢を祝う会にてふれあい活動を実施
1994.08.18
仙台市宮城野区にある特別養護ホーム鶴寿苑(夏祭り)にてふれあい活動を実施 1997.09.27 仙台市泉区社会福祉センター'97泉福祉まつりにてふれあい活動を実施
1994.08.19 仙台市宮城野区にある特別養護ホーム鶴寿苑(夏祭り)にてふれあい活動を実施 1998.11.01 仙台市高砂市民センターまつりにてふれあい活動を実施
1994.09.23 動物フェスティバルIN仙台に参加
(仙台高砂ライオンズクラブ共催)
1998.11.03 高砂'98中野栄ふうせんまつりみのり市にてふれあい活動を実施
1994.10.16 第6回みやぎのまつりにてふれあい活動を実施(仙台高砂ライオンズクラブ共催) 1999.04.21 塩竃市老人保健施設グリーンヒルズにてAAT動物介在療法を実施
1995.09.18
宮城県立利府養護学校にてふれあい活動を実施 1999.06.23 仙台市ふくだまち幼稚園にてふれあい活動を実施
1996.09.04 福島県原町市特別養護老人ホーム長寿荘にて保健所・医師・獣医師による初のAAT動物介在療法を開始 1999.07.08 仙台市青葉区特別養護老人ホーム洛風苑にてAAT動物介在療法を実施
    1999.10.24 高清水勤労者体育センターみんな・なかよし・みんあであそぼうにてふれあい活動を実施

これからも、どんどんと活動していきます。よろしく!